包丁のせいにして
ふるさと納税で出刃包丁を手に入れた
ふるさと納税で届いた出刃包丁は
とてつもなく存在感のあるものだった
魚を上手くおろせないのは包丁のせいではないか。
釣りと同じで道具のせいにするのは僕の悪い癖だ。しかし、まんざら間違いではないかもしれない。うちにあるのは長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)の鍛冶屋で買った刃渡り10センチほどのアジ切り包丁だけ。これと普段使いのステンレスの包丁を使っている。そこそこのサイズの魚をおろすとき、どうもうまくいかない。ステンレス製の包丁は厚みがないので、どうも三枚おろしがうまくいかない。つまり、アジングロッドでカンパチを釣るようなものだ(間違いなく原因は僕の腕なのだが)。いつか、刃渡り15~18センチほどの立派な出刃包丁が欲しいと思っていた。
ある時、ふるさと納税サイトを物色して、釣りに関するものを探していた。昨年は静岡県焼津市のDUOの『ハウルシリーズ』の詰め合わせを購入した。ふるさと納税は釣り関連の返礼品が豊富で、ルアーだけではなく、ロッド、遊漁券、管理釣り場チケット、釣り船乗船券など、様々なものがある。実はふるさと納税制度は釣り人フレンドリーなのだ。
ANAのふるさと納税で調べるとたくさんの出刃包丁が返礼品として出品されていた。遠州、土佐、大阪、おお、東彼杵もある。その中にひときわ存在感を放つ包丁を見つけた。
兵庫県南東部に位置する小野市の出刃包丁だった。この地は豊臣秀吉の時代から刀鍛冶の町として栄え、江戸時代に入る頃にカミソリ、はさみ、包丁など家庭刃物を作りはじめたそうだ。
戦国時代の刀鍛冶の
遺伝子を感じる出刃包丁
そういえば小野市は播州そろばんの産地だった。硬い珠(たま)作りには鋭利な刃物が欠かせない。それに、僕の出身地である尼崎市のすぐ近くだ。ああ、なんかこういう繋がっていく感じは心地良いな。ここにしよう。「ふるさと納税」と言うくらいなんだから、なにか縁のある場所がいい。
大正元年(1912年)創業の卸問屋・田中菊蔵商店の出刃包丁「槌目模様 黒仕上げ 出刃包丁 白鋼 180mm」が目に入った。槌目(つちめ)とは金槌で金属を叩いて目を打ち付ける技法で、この凹凸には切ったものが刃物から離れやすくする役目がある。「ステンレスなら手間いらずだけど鉄はなあ。定期的に研がないとなあ」と迷うこと5秒。槌目模様の美しさに魅惑されて決定した。小野市への寄付額は34,000円也。これに手数料2,000円が加算される。一時的には財布に痛い金額だが、所得税からの控除に加え、翌年度分の住民税が減額される形で控除される(確定申告の際、寄附金控除に金額を入れるだけ)。小野市、応援しています(行ったことないけど)!
購入から10日ほどで見事な出刃包丁が届いた。美しく、秀吉時代の刀鍛冶の遺伝子を感じる包丁だ。
……しかし、でかい。18センチってもう刀だな。これはそうとう大物を釣らなければ、これまで同様アジ切り包丁でよさそうだ。準備は整った。大きな魚が釣れますように。
今回利用したのはANAのふるさと納税