
〜磯釣り遠征に最適なギア10選〜
ギア選びから冒険はスタート。
限られた荷物、変わりやすい環境、そして未知のフィールド——。
いつもの釣りとは違う「遠征」だからこそ、必要なギアは少し変わってきます。
今回は、GAMAKATSUの商品開発部で活躍するアングラー・黒神 樹さんが、自身のヒラスズキ遠征で実際に使用している“私的ベストセレクション”をピックアップ。軽さ・汎用性・携行性にこだわったアイテムたちは、言うなれば定番の「A面」ではなく、使い手の工夫と経験が光る「B面」的ギアの宝庫。
公共交通機関を使った遠征のリアルな視点と、実釣に裏打ちされたギア選びのポイントには、あなたの釣行準備にも新しい発見があるはずです。
ギア選び、大切なのはこの3つ。
私が遠征で使用するギアを選ぶ時は以下の3つのポイントを重視しています。
1.軽量であること
2.汎用性が高いこと
3.本当に必要なものだけを持っていくこと
これらの基準をおさえた上で現場で過不足が起きないように徹底的に荷物を厳選してパッキングします。予備を持っていかない訳ではありませんが、準備過多は遠征においてデメリットにもなり得ます。なぜなら運搬できる荷物量に制限があり、物量が増えれば増えるほど移動時の快適性が損なわれてしまい、公共交通機関遠征の利点をそいでしまうからです。
この視点から選んだ、遠征用ギアの私的ベストセレクションを紹介します。
1.CARGO 55
個人SNSでも紹介しまくりのお気に入りの逸品です。
例えば、もともと付属しているスタッフザックをモンベルのドライバックチューブ40に変更して完全防水仕様にしたり、ギアバッグのような箱物を積み重ねたりと、持っていく環境やアイテムに合わせて色々とカスタマイズができます。MAX55L(個人感覚では65L)を収納できるので、ヒラスズキ遠征のようにウエットスーツやライフジャケットなどパッキングしにくい荷物が増えがちな遠征には、特に重宝しています。
公式サイト:paagoworks

2.マルチトレックPFD LE915
実は私自身も開発に関わった製品ですが、忖度抜きに遠征にオススメできるライフジャケットです。汎用性が高く堤防、磯、河川のウェーディングと様々なシチュエーションで使用することができます。大型のルアーBOXを収納可能な前面収納に加え、容量8Lの背面収納があることで予備の荷物を背中に収納しておけます。また、着用したまま背面収納からモノの出し入れができるように8の字ZIPを採用しています。
生地にもこだわりがあり、コーデュラⓇとスペクトラⓇの混紡生地を採用することで強度は担保しつつ軽量になっています。この生地の副産物としてパッキング時には浮力体を抜いて本体を丸めると2Lのペットボトルと同等のサイズまで圧縮することができます。抜いた浮力体は緩衝材として使用する事もできる点も遠征向きです。
公式サイト:GAMAKATSU

3.ツインフーブス・先丸スパイク足袋
遠征時に嵩張ってしまうのは靴とライフジャケット。そこで僕が愛用しているのは荘快堂という安全靴メーカーの林業用シューズです。釣具メーカーの磯靴じゃないの?と思うかもしれませんが、この靴はかなりの優れものなんです。500g前半で値段も¥5,000-弱という超軽量&超コスパです。さらにコンパクトになるのでパッキングの体積も減らせます。
もちろん専用品では無いので、人によっては足裏の突き上げ感を感じたり、磯の形状や状態によっては滑ってしまったりとデメリットも存在します。なのでご自身が行く磯に合わせて使用の判断はしていただきたいです。
公式サイト:荘快堂

4.パックロッド
対馬遠征で使用したGAMAKATSUのパックロッドは現在開発中なので、商品写真をクローズアップでご紹介できずに申し訳ないのですが、公共交通機関を利用する遠征において、パックロッドを選ばない理由はないというくらい利便性が高いです。
新幹線移動にしても、最近のインバウンドの影響もあり特大荷物スペースを取得できずに新幹線内にロッドを持ち込めないケースや飛行機移動にしてもロッドケースを別途預けたりする必要がでてきます。また、あの長く重いロッドケースは移動中の邪魔になってしまいます。パックロッドはそれらの移動中の煩わしさから解放してくれます。

5.らくらくユルメ
普段は活躍しないけど常に持っていたいと思うのが、このらくらくユルメです。固着して抜けなくなってどうやって持って帰ろう…と途方に暮れていた友人のロッドの固着から、何人も救ってきたお守りギアです。この類のモノは必要最低限の線引きをする上で非常に悩ましいですが、らくらくユルメは持っておきましょう。
ブランクにこのシートを巻き付けてねじりながら引っ張るだけで簡単に固着が抜けることが多いです。竿が濡れていて滑ってしまう状況でもこのシートを使えば滑らずに使えます。
値段も¥1,000以下と手を出しやすい価格帯なのも嬉しい要素です。
公式サイト:長谷川化学工業

ルアー(6-8)
普段と違い遠征では、たくさんルアーを持ち込むのは難しい上にどんなフィールドかも分からないことが多いので、少ないルアーで様々な状況に対応しないといけません。ルアーにも汎用性が求められます。
今回のルアーは、ヒラスズキをターゲットに絞って、遠征時に外せない3本を何とか絞り出しました。
6.TKLM “12/18”
最初の1本として、よく投げるナチュラル系のルアーです。巻いても流しても使える汎用性の高いルアーなので遠征だけでなく、普段の釣りでもヒラスズキ釣りの1つの軸にしています。
公式サイト:タックルハウス

7.X-80MAGNUM
TKLM120を使えないくらい足場が高かったり、サラシが濃い時にメインに使用するハイアピール系のルアーです。
巻いてよし。止めてよし。ジャークしてよし。と三拍子揃った名作です。釣れすぎて壊れることもありますが、何度でも買い直してしまうほどの信頼があります。気がつくとこのルアーを投げていることが多いです(笑)。
公式サイト:メガバス

8.かっ飛び棒130BR
あの沖のサラシにルアーが届けば釣れそうなのに…そんな時はこのルアーです。細かい使い方はさておき、ミノーでは狙うことのできない沖のサラシからヒラスズキを連れてきてくれる1本です。
公式サイト:ジャンプライズ
TKLM120は飛距離はそこそこで足場が低くサラシが薄い時。
X-80MAGNUMは飛距離が必要で足場が高くサラシが濃い時。
かつ飛び棒130BRは上記のルアーでは届かない飛距離が必要なとき。
という使い分けをしています。


10.スマホ用防水ケース
1度遠征時に大雨で携帯を水没させて、充電不能になってからは手放せないギアになりました。(その時は乾かしたら直ったのですが非常に焦りました。)
遠征先でスマホを水没させてしまったりしたら目も当てられません。誰とも連絡取れませんし、最悪帰宅すら難しくなってしまいます。(僻地の場合、携帯ショップなんてありませんから。)
そんな状況を少しでもリスクヘッジできるように遠征時は常に防水ケースにスマホを入れて保護をしています。
値段の割にはかなりしっかりした作りになっていますが万が一に備えて定期的な買い替え(半年に1回程度)をした上で使っています。
公式サイト:Amazon

普段の釣りと違う特別な遠征を快適に過ごすためのギアのセレクションも、遠征釣行の楽しみの1つだと思っています。みなさんもご自身のスタイルと相談しつつ、釣具だけで無いところにも目を向けてギアを選んで行くと、意外なところから見つかるかもしれません。(私は最近、家具屋さんで面白そうなアイテムを見つけました、その紹介はいずれまた!)

黒神樹
1999年生まれ。
釣具メーカーGAMAKATSUでルアー用品の企画に携わっている。
春から夏は全国の在来種のイワナ釣り。秋から冬は和歌山と徳島県を中心にヒラスズキ釣りを日課としている。また、釣り旅が特に好きで1尾との出会いを大切にすべく各地を巡っている。