
~極寒のカンパチジギングへ〜
釣りをしない友人に聞かれた。「釣りの一番の魅力ってなに?」
海の中にいる魚とのかけひき、季節によって変わる対象魚と楽しみ方、広い海を眺めて嫌なことも忘れほどのめりこめること、逆に防波堤でぼーっとするのもいい、もちろん釣った新鮮な魚は美味しい、それに釣りを決めたあとに釣具屋に行くのも楽しい…、でも一番って聞かれたら?もちろん、人によって答えは変わるだろうが、私の答えは、魚がかかったときの“あのブルブル(Vrrr!)”だ。大きな声を出すのははばかれるが、心のなかで叫ぶ「キターーー!」。あの瞬間がたまらない。
今回は、そのブルブルをしっかり楽しむために、ライトジギングでカンパチを釣りに行くことにした。選んだ場所は、茨城の波崎漁港。1月のここで釣れるカンパチは、1~2kgと小ぶりながら脂が乗って美味しいとのこと、なにより青物(Blue-backed fish)らしく思いっきりブルブルを楽しませてくれるだろう。
船宿の情報では少し前まではカンパチが絶好調だったのだが、運悪く前日までが時化な上に大寒波もやってくるとの予報でちょっと心配。だが釣り人は前向き!期待が上回る。
友人たちと夜中に待ち合わせして、波崎港に着いたのは午前2時。漆黒というより濃紺(Dark Blue)の夜空に月と星がとてもきれいで天気は心配なさそうだが、海はまだ時化の影響がありそうで、凍てつくような風も吹いている。
出港は4時半。ポイントは犬吠埼の沖合で1時間ちょっとの移動。海は予想通りでしっかり荒れて風はまだ強い。とても寒く、カラダがブルブル(Brrr!)震える。揺れる船の中、釣り人たちはキャビンに入るか、波を被りにくい場所で身を丸くしている。
しばらくして船の速度が落ちて、ポイントに着いたことを知らせてくれる。気づくと朝日が昇り、青空(Blue sky)が広がっている。ここからはカンパチのエサになるベイト探し。ゆっくりと船が移動する中、船長の開始の指示を待つ。
そして船長の「はい、どうぞ。40m」の声が響き、みんなが一斉にルアーを落とす。
今回、私が選んだのはタングステンの60gのジグ。「高いけど釣れる」と言われるタングステンは、レアメタルの一種で比重が大きくて金とほぼ同じ。つまり同じ重さでも小さく、流れの影響を受けにくく、ベイトが小さいときや低活性のときに効果があると言われている。最初は前フックのみでチャレンジ。
指定の深さまで落として、少し早めにシャクってみる。船内ではさっそく釣り上げている人もいて、ちょっと観察。ふむふむ、ルアーはイワシ風でシャクリはちょっとゆっくりだな。さっそく真似てみる。何回か落としてはシャクリを繰り返すが、なかなかアタリは来ない。と、船長から「上げてください」と移動のアナウンスが入る。カンパチジギングは、ベイトを追っかけながらこまめにポイントを移動する釣りだ。
何度かポイントを移動しながら、周りにポツポツと釣果が出てきているが、私にはまだあたりが来ない。ちょっと焦りながら、ルアーチェンジをしたり、後ろのフックも付けてみたり、できることをいろいろ試してみる。次こそはとルアーを落としシャクリ続けていると、「キターーー」。青物特有の強いアタリだ。柔らかい竿を使っているので、竿のしなりもいい感じ。周りの人がバラしている姿も見ているので、慎重に一定速度でリールを巻いていると…あれ?軽い。バレてしまった。友人からは「今日は船も揺れるし、しっかりフッキングしないとね」とアドバイスをもらった。

アタリがきたら強くフッキング!そうブツブツ言いながら、さらにルアーを落とすこと数回。「キターーー」。ブツブツ言っていたのに、かかったことに舞い上がって少しのフッキングで巻き始めてしまった。「頼む、外れないで」と願いながら、一方で青物の強い引きを楽しんでいると、ついにその姿が海面に見えた。カンパチだ。一気に引き上げる。足元でバタバタと暴れるカンパチを見て、安堵しつつ頬が緩む。血抜きをしながら、まじまじと魚を見ると、小ぶりながらもしっかりと身が詰まったような弾力のあるボディ。海の中を駆け巡る、まぎれもない青物だ。
その後も、何度かかけてはバラし、最終釣果は3尾。ブルブル震える寒さだったけど、青空の下で青物の釣れた瞬間のブルブルは十分に楽しめた。やっぱり釣りは楽しい!
午後2時になって、釣りは終了。今回はいつもより底に近いところにカンパチがいたようで、活性も思ったほど高くなく、船中の釣果はそこそこ。中にはワラサを上げている人もいたが…。そして陸に上がって、友人たちと今日の釣りを語りながら帰り支度。さぁ、東京までドライブして、そのあとはもう一つの楽しみカンパチ料理。刺し身になめろう、漬け丼に干物なんかもいい。
この日の様子は、一緒に釣船に乗ったこん吉フィッシングさんのYoutubeからもお楽しみください。